口腔機能低下症とは
昨今、テレビやインターネットなどの各メディアで紹介されることがありますので、「口腔機能低下症」という言葉を耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょか。また、その言葉から大凡のイメージは持てるかと思いますが、具体的にどういったものなのかをご存知の方は、まだまだ少ないと考えています。
口腔機能低下症とは、病気やケガ、加齢などの原因で噛むことや飲み込むこと、口の周辺の感覚や唾液を分泌する機能などが低下することを言います。ある調査によれば、検査を受けた方の40歳代で4割、50歳代で5割、60歳代で6割、70歳代では8割もの方が 口腔機能低下症だったという結果が報告されています。
そして、高齢になるほど虫歯や歯周病で歯を失うケースが増え、入れ歯を使ってもしっかり噛めていないケースもあることから口腔機能の低下が一層進み、放置しておくと咀嚼機能不全、摂食嚥下障害となって、全身的な健康を損ないかねません。そのため、全身状態や生活環境も含めた口腔機能を適切に管理する必要がとなり、且つ、口腔機能低下症には様々な発症・悪化要因があるため、患者様の状態を見極め、歯科だけでなく、医科との適切な連携も見据えた総合的な対応を行う必要もあります。
こんな症状はありませんか?
- ● 食べ物や飲み物が飲み込みづらい事がよくある
- ● 硬いものが食べにくくなった
- ● 水やお茶、汁物などでむせることがある
- ● 口がよく乾く
- ● 食べ物が口の中に残るようになった
- ● 食べこぼしをするようになった
- ● 口活舌が悪くなった
ご自身やご家族に上記のような症状がおありの際は、ぜひ一度ご相談にお越しください。
口腔機能低下症とオーラルフレイル
ここ最近では、口腔機能低下症だけでなく「オーラルフレイル」という言葉を耳にする機会も増えております。オーラルフレイルは、わずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった口腔機能が低下した状態を指し、多くの方々への啓発に用いる用語です。
そして、オーラルフレイルは、50歳以上の方が加齢・基礎疾患・お薬の副作用・低栄養などの原因によって、複数の口腔機能が低下することを示しています。
50歳以上の方は当院で検査を
口腔機能低下症は平成30年度診療報酬改定で新病名として認められましたが、令和4年度の改定では、算定要件が65歳以上から50歳以上と大幅に引き下げられました。
つまり、「口腔機能低下症」と「オーラルフレイル」といった表現の違いに関わらず、50歳以上になったら一度は歯科医院で検査を受け、高齢化社会をどれだけ健康的に生き抜いていくかを、全ての方に考えて頂きたいということになるかと思います。
口腔機能低下症の検査と診断
口腔機能低下症は、下記の7項目についての検査を行い、3項目以上該当する場合に口腔機能低下症と診断されます。
1.咀嚼機能
2.嚥下機能
3.舌圧
4.舌口唇運動機能
5.口腔乾燥
6.口腔不潔
7.咬合力
口腔機能低下症と診断された場合はもちろんですが、そうでなかった場合でも、日常生活で頰や舌、唇のトレーニング等、口腔機能向上のためのトレーニングを行い、口腔機能の維持・改善を図ることが非常に重要です。当院では、患者様ごとの口腔機能に合った口腔機能の改善指導も行っております。 健康で楽しい老後を送るためにも、ぜひ一度、当院で口腔機能低下症の検査を受けることをお勧め致します。